KISSしてダーリン。




でも…………



カイの後ろから不思議そうな顔をして近づいてくる女の子を見て、胸がズンッと重くなった。



放課後になっても、唇テカテカなんだな……


塗り直したりしてるんだろうな…女子力高いな…



と、この期に及んで心底どうでもいいことをバカみたいに思い浮かべる。



「……ナツ?」



視界の端でその子見ながら呆けていた私に、カイが首を傾げる。



「ご、めん、何でもない」



やばい、ちゃんと、笑えない



「…もう、行くけど、あとでちゃんと話そう」



いつもと様子の違う私に、カイは昨日のことが原因だと思っているのだろう。


頭にポンっと手を置かれた反動で、俯いていた顔をあげる。


カイは、私にだけ見せてくれる小さな微笑みを残して、教室から出て行った。



……やっぱり、言えない。


あの子と浮気してるかもしれないって思っても、やっぱり、…別れたくない。


だって…好き、なんだよ。



もどかしい切なさに唇を噛んだとき、



「カイっ」




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