KISSしてダーリン。
さよならの言葉が震えた。
真っ直ぐに見ているようで、本当は見えてなかった。
どんな表情をしたのか、見れなかった。
衆人環視の中、踵を返してその場から走り去った。
玄関まで階段を駆け下りて、靴箱に体を預けて息を切らす。
言いたくなかった。言いたくなかった。
……別れたくなかった。
―――――…追いかけて、来ない
賭けに、負けた
「は……っ、ふ、ぅ」
切れた息が嗚咽へと変わる。
別れたくなかった。期待していた。追いかけてきてくれるって。
別れたくないって、言ってくれるって。
視界が一瞬クリアになって、地面に涙が落ちる。
本当に……終わって、しまった。