ずっと、君に恋していいですか?
「異動は15日付けだけど、引っ越しとか研修があるから、来週…8日にはここを発つよ。」

「8日って…あと4日しかない…。」

「仕方ないよな、辞令だから…。」

薫はその紙を握りしめ、辞令の文字を凝視している。

「それで薫は…どうするの?」

「……。」

重い沈黙が流れた。

うつむいて考え込んでいた薫が、顔を上げずに口を開いた。

「今すぐには…決められない…。」

「……だよな。」

志信は薫の手から辞令を取り上げ背を向けた。

「志信…。」

「帰る。オレの話はそれだけだから。おやすみ。」

感情を押し殺した声でそう言って、志信は薫の部屋を出た。



志信は拳を強く握りしめ、自宅へ向かって足早に歩いた。

薫が今すぐに答えを出せない事は、最初からわかっていた。

だけど、今すぐじゃなくても、たとえ嘘でもいいから、“ついて行く”と言って欲しかった。

(やっぱりオレより仕事が大事か…。そりゃそうだよな…。)

そばにいてもなかなか会えないのに、遠く離れてうまく行くとは思えない。

自分だけがどんなに望んでも、薫が望んでくれなければ、一緒にはいられない。

(最初から無理な恋だったのかな…。)





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