ずっと、君に恋していいですか?
付き合ってまだ5ヶ月程度とは言え、当たり前のように毎日一緒にいるのに、ここには部屋着のひとつも置いてくれないんだなと、志信はなんとなく寂しい気がした。

(今度の週末は、たまにはうちで過ごそうって言おうかな…。そうだ…`アナスタシア´のルームウェア、欲しいって言ってたっけ…。)

薫とテレビを見ていた時に、ファッションブランド`アナスタシア´のCMが流れた。

そのCMは薫の好きなロックバンド`ALISON´のユウと、その妻でモデルのアリシアが出演していて、二人がCMで着ていたおそろいのルームウェアが欲しいと薫は言っていた。

(薫、喜ぶかな…。)

そんな事をぼんやり考えていて、うっかり柔軟剤を入れ忘れていた事に気付いた志信は、慌てて柔軟剤を投入口に注いだ。

「あ、入れすぎた…。まぁ…足りないよりはいいか…。」

薫の部屋で綺麗に洗われたシャツに袖を通すと、強すぎない優しい香りがする。

週末に一緒に過ごした後、薫が自分のために洗濯してくれているのだと思うと、そんな些細な事さえ嬉しくなる。

薫の部屋と自分の部屋では、匂いが違う。

それが薫の好みの洗濯洗剤や柔軟剤、シャンプーやボディーソープ、台所用洗剤やハンドソープなどの香りと、料理をして食事をして、寝て起きて、タバコを吸って、薫が生活している匂いが混ざり合って薫の部屋の匂いになって、それが薫の体臭と混ざって薫の匂いになっているのだと思うと、自分もいつもその中で暮らしたいと思う。

(一緒に暮らしたいな…。朝も夜も、毎日薫と一緒にいたい…。)


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