奇聞録(冬)



郵便受けに石ころが入っていた。



石には矢印が書いてある。


向きが分からない。


翌日も矢印が書いてある石が入っていた。


よく見ると矢印は全部同じ方向を指していた。


矢印は恐らく上を指している。


7個の石が揃った日、屋上から飛び降り自殺が在った。


7階から。


自殺したのは女性だった。

手には手紙が握りしめられていた。


7つの石を持って居る奴に、私の遺書を渡します。


と、書かれていた。


警察に言われ、取り調べを受けた。


おかしな話だが、彼女が自殺した時に、握り締めていた手紙から、何故か私の指紋も発見された。

家に帰ってトイレに入った。


コツン・・・。


痛いな!

何かがトイレの天井から落ちてきた。

上を見上げた。


小さな穴が開いている。

手を伸ばすと天井が呆気なく外れた。


大量の石と、1枚の手紙が置いてあった。



私は警察に話さず、その部屋を引き払った。

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