流れ星スペシャル
「ありがとうございます!」
食事を終えたお客さんが席を立つと、焼き場から威勢のいい声があがった。
「ありがとうございまーす」
それぞれの持ち場から、他のスタッフの掛け声が続く。
「ありがとうございます」
わたしも大きな声をあげた。
う~ん、懐かしい、この感じ。昔バイトしてた居酒屋もこんな感じやった。
そんなことを思い出しながら、マドラーでカクテルを混ぜていると、焼き場の彼が低い声を放った。
「おい、おっさん。5番、早よ下げろや」
お、おっさん……?
怒りを押し殺したようなその言葉は、おそらく桂木さんへ向けられていて……。
「『ありがとうございます』って聞こえたら、どっかのテーブルが空いたってことや。すぐに片付けに行けって、何べんも言うたやろーがっ」
「そ、そっか」
「席片づけな、長いこと待ってくれてるお客さんが入られへんねん。ったく、いつまで待たすねん、ボケ」
ボ、ボケ……!?