流れ星スペシャル
「流れ星の前に働いていた店でも、店長を任されてたんやけどな」
西条さんは、大手外食チェーンの名前をあげた。
「その会社では毎週、本部のスーツを着た連中が戦略考えて、そいつらが決めた売上目標を発表されるねん。達成できへんかったら、始末書提出や」
「へぇ」
「何回もムチャな数字出されて頭に来たから『お前がやれ』って蹴ったら、クビになった」
「け、蹴ったって、ムチャな目標を蹴ったってことですか? それとも実際に足で蹴ったとか?」
「実際に足で、の方」
「あっはっはっは、そらクビ飛びますよ」
あんまり平然と西条さんが言うので、思わず笑ってしまった。
「だからサラリーマンの桂木さんが嫌いなんですね」
その言葉に、西条さんはちょっと箸を止める。
「安西。桂木はタヌキやで。信用すんなよ」
「え」
タヌキというのはこの場合、おなかの中で何を考えているのかわからないって意味だろう。
本音を隠してとぼけているから、だまされるなってこと。