流れ星スペシャル


翌週、定例となった経理の勉強会の日、わたしはいつもよりも早めに店に来た。


鍵を開け、まだ暗い店内へ入る。

ちなみに、店の鍵はわたしのほかに桂木さんとトシくんが持っていて、誰かが休みの日でも困らない体制になっていた。


窓のスクリーンをあげると、フロアがほんのり明るくなる。

掃除の行き届いた店内。

就任以来桂木さんが心がけてきた清掃の徹底は、今ではすっかりスタッフ全体の仕事として浸透していた。


「まだ早いな」


時計は2時。

開店準備を始めるのが4時で、勉強会は3時からだから、それまでに雑務を片づけたい。

事務室へ行き、パソコンを立ち上げようとしたとき、ヘアのドアがガチャリと開いた。


「あれ? 早くない?」


ヌッと入ってきたトシくんの姿に声をかけてから、息をのむ。


「ど、どうしたん、その顔!?」


どうしたもこうしたも、トシくんの左頬がピンク色に腫れあがっていた。


「なんでもない」


ブスッとそう言い、わたしの横をすり抜けようとするトシくんに思わず声が出る。


「絶対殴られてるやん!」


するとトシくんは足をとめ、チラリとこっちを見た。


「わかる?」

「わかるよっ!」


左頬に手を当て、痛そうに顔をしかめたトシくんがチッと舌打ちをする。


< 347 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop