流れ星スペシャル
「う……」
あふれる涙はもう指先では手に負えなくなって、桂木さんはわたしの肩を引き寄せて、涙腺崩壊中の顔を自分の胸に押し当てた。
「もう泣かんといて」
「ム…リ……」
「大丈夫やから……。こんな大事なこと、もう他の誰かに任せたりしません」
厚い胸が低い声を響かせる。
「オレがこの手で幸せにするから……」
時間が静かに流れていく。
これは夢? 現実……?
桂木さんの手から滑り落ちたはずみでリモコンのスイッチが入ったのか、いつのまにかテレビがついていた。
辺りが少し明るくなり、DVDの音声が流れ始める。
「観る……?」
やっと泣きやんだわたしに、落ち着いた声が聞いた。
大きな手が両側からわたしの頬を挟んで、そっと自分の胸から離す。
その顔を見あげてコクンとうなずくと、幼な子をあやすみたいに優しい瞳が笑いかける。
「一緒に観ましょう、沢井さん」
「うん。あ、でも、敬語はもう……」
おそるおそる言いかけると、桂木さんが続けてくれた。
「そっか。うん、敬語はやめよー」
照れたように宣言する言い方が可愛くて、胸がジーンとした。