流れ星スペシャル
初代店長の横内さんは、飲食店での経験も長く、商才に長けていて、ある意味飲食店の店長にピッタリの人やった。
人使いも荒かったしな……。
『トシ、お前、センスあるわ』
オープニング募集で集められたアルバイトの中から、なぜかオレを気に入ってくれて、結構シビアに叩き込まれた。
仕込みも調理も店の回転も発注も、覚えてくるとおもしろくて、わりと早い段階で任されるようになっていった。
オープンからラストまで、勤務は長くてキツかったけど、やりがいはあったな。
例の、夢への一歩のつもりで、がんばれたんだと思う。
そのうちに開店前の仕込みをオレに一任し、横内店長は遅入りするようになった。
となると、営業前の店に来ても横内さんがいないから、社長はつまんなそうに帰っていく。
厨房でオレが働く様子をただ眺めているだけで、社長はオレには夢を語ってはくれなかった。