黒狼と猫の総長様
泣いてもいいと思う。
泣かない私が、言えることじゃないけど。
それは悪い事では無いと、思う。
顔を隠しながら震える月夜を見ず、顔を上に上げて月を見る。
……満月は、嫌いじゃ無い。
あの日から、嫌いじゃなくなった。
今の私なら、やれる気がする。
『……ありがとね、月夜』
いつの間にか寝ている月夜を起こさないように組員に運ばせる。
『あ、玲彩……』
部屋に戻ると、いち早く私を見つけた琉が、私に抱きついてくる。
『レーちゃん、レーちゃん!』
『どこ行ってたの?』
……2人がハモってない。
『……縁側』
『兄貴、見ませんでしたか?』
『……月夜なら、さっき寝たよ。
疲れてたみたい』
『……そうですか』