僕等はまだ恋を知らない
*
「先生、まだ来てなくてよかったな」
「う、うん……」
完全に遅刻で教室に入ったけど、幸い先生がまだ来ていなかった。
前の席に座る大翔が「寝坊するの何回目だよ」と笑ってくる。
そんな大翔に反論の言葉を言う気にもなれず、机に突っ伏した。
朝から無駄に疲れた……………。
「走って疲れたんだね」
顔は見えないけど、確実に沙耶の声だ。
大翔の隣。
つまり私の斜め前が沙耶の座席。
私たち幼なじみはクラスだけでなく、席まで一緒。
窓側の後ろのゾーンが私たちだ。