僕等はまだ恋を知らない
「あーーーーっ!学校!!!!」
チャイムの音を聞いてようやく気がついた。
わざわざ近道を通ったのも意味がなく、朝のホームルームを知らせる鐘がうるさいくらいに響く。
遅刻確定なのがわかっていても、反射的に体が動いてしまう。
「えぇっと……その……すみませんでした!!」
それだけを言い残し、勢いよく地面を蹴り上げた。
「ちょ…………!」
何かを言いたかったみたいだけど、気づいてないふりをしてそのまま走り続ける。
心の中で「ごめんなさい」を繰り返して、学校の校門をくぐり抜けた。