僕等はまだ恋を知らない
「じゃ、九条は倉橋の隣の席な」
「と、隣って………」
確かに教室の広さと人数の都合で私の隣には誰も居ないけど、流石にそれは無いんじゃない?
できればこれ以上あの人に関わりたくないのが本音。
私史上最悪と言ってもいいほどの黒歴史に関わった人物。
この記憶は一生思い出せないよう、頭の奥底に隠そうと思っていたのに………。
彼が近くに居たら嫌でも思い出してしまう。
「じゃ、ホームルーム終わり」
「待ってくださ………」
それだけ言い残すと、すぐさま教室から出て行った。