あたたかい冬の日に雨降り

 奏汰がどういうつもりで俺にそういう態度をとるのかなんて、考えてみれば理由なんてひとつしかなかった。


 たとえば、俺に送られてくる写真。


 いつだって双子の子供と葉月が映ったものだけだった。


 たとえば、今日の待ち合わせ。


 普通こんな暗くて寒いのに、葉月ひとりを外に出したりするか?


 迎えに来るのは奏汰でよかったはずなのに。


 たとえば、さっき。


 自分が子守するからと理由つけて、俺と葉月を意図的にふたりきりにしようとしたり。


 奏汰の微妙な顔は、それだろ。


 俺が、あの時葉月を好きだって言ったから、きっと今も罪悪感でいっぱいなんだろう。


 美月に対しての想いは葉月と一緒に歩むことで消化できても、俺に対してのいろんな思いは消えてなくて。


 そうやって、奏汰は俺への罪悪感を拭おうとしているんじゃないかって思う。


 それは試されているようでもあって、少しだけ腹が立つ。


 ……まあ、俺がいろいろ話していないことにも原因があるんだろうが。



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