ヴァイス・プレジデント番外編
* * *
「堤と、同じ高校のご出身なんですね」
先輩の横に立った、秘書らしい女の子が、渡した私の履歴書を眺めながら微笑んだ。
私たち編集部員は、膨大な人数にインタビューに行き、限られた時間の中で、相手の個性や長所を引き出さなければならない。
もとから話すのが得意な人もいれば、打ち解けるだけで精一杯、みたいな人もいる。
なので私たちは、まずインタビュアーのことを知ってくださいという意味で、フランクに書きこんだ「履歴書」を渡す。
趣味や日常のことや、ちょっと笑えるようなエピソードなど、ここから会話が発展すればいいな、くらいの気軽な内容だ。
ちょうどコーヒーを秘書さんが持ってきてくれたタイミングだったのと、先輩のシャイさが変わっていないのなら、彼の身内も巻きこんだほうが手っ取り早く素の顔を見せてもらえるかと思い、彼女にも渡した。
秘書さんは控えめにそれを受けとると、礼儀正しく、興味深げに隅から隅までそれに目を通す様子を見せてくれた。
言われて初めて気がついたのか、え、と先輩が履歴書をのぞきこむ。
「ほんとだ。何年卒ですか?」
そういえば、その履歴書に生まれ年は書いていない。
歳が近いことを見てとったんだろう、先輩があきれるくらい正直に質問すると、秘書さんが慌てたように「ヤマトさん!」と小声でたしなめたので、私はつい笑った。
先輩も、その質問のマナー違反に気がついたようで、あせったように、あ、そっか、と目を丸くする。
「失礼しました」
「お気遣いなく。私は堤さんの、ひとつ下です」
見るからにセンスのいい、モダンな調度で整えられた応接室で、低いテーブル越しに、にこりと笑いかけると。
その時になって、ようやくまともに私の顔を見てくれた先輩の目が、次第に大きく見開かれていった。
渡した名刺と私を何度か見比べて、呆然と声を発する。
「…池田さん?」