許嫁な二人

   「あの、もうだいじょうぶなの。」

   「本当か?」
  
   「うん、夜でてた熱は、朝には下がったから。」



 唯の言葉の真偽を見極めるように、透はじっと唯を見た。

 唯の頬が、朱色に染まる。



   「あ、あの、透くん、本当に、、、。」



 みなまで言わせず、透は再び前をむくと、歩くのを再開した。



   「無理するなよ、絶対。」

   「うん、わかってる。」



 唯は体が丈夫じゃない。

 すぐ風邪をひくし、風邪でもないのに熱をだす。

 そういうこともあって、祖父は透に ”唯を守れ” と言っているんだと
 透もわかっていた。

 だからって、ずっと唯のそばに居てやるわけにはいかない。

 だからせめて登下校ぐらいはつきやってやる、、、そう透が思って
 いるのも、また事実だった。
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