許嫁な二人

 3日後の文化祭当日は、秋晴れの気持ちよい日だったが、
 透は眠くてぼんやりする頭で、人でごった返す廊下にいた。

 本当は、自分のクラスである2年5組のお化け屋敷の呼び込み
 をするように言われたが、そんなものはちゃっちゃとうっちゃって、
 透はあてもなくぶらぶらと廊下を歩いている。

 そうしたら、前から担任の柴坂がやってくるのが見えて、透は
 顔をしかめた。



   「よお、瀬戸、ヒマそうだな。」



 通り過ぎてくれと思ったのに、透を認めた柴坂は近づいて
 声をかけてくる。



   「ヒマなら顔をだせよ。今日は弓道部で体験教室をやるんだ。」



 柴坂は弓道部の顧問もやっている。

 そして、透に弓道をやれとうるさい。

 1年の時から、言い続けられているが、透は弓道をやる気はない。

 確かに透は、桜下第二中で弓道部に籍をおいていたが、最後の方は
 ほとんど幽霊部員だった。



   
< 67 / 164 >

この作品をシェア

pagetop