許嫁な二人

 ぼんやりその背を眺めていたら、



   「瀬戸くん。」



 と呼ばれた。

 見ると、クラス委員の三枝が立っていた。



   「今日の放課後は文化祭の準備なんだけど、、、
    昨日言いましたよね。」

   「そうだったっけ?」

   「そうです、瀬戸くんちっとも協力してないんだから
    今日ぐらいはちゃんと参加して下さい。」

   「はい、はい。」



 調子のいい透の返事に、三枝はちょっと睨むように透を
 見たが、何も言わずにくるりと背のむけて去っていった。


  (文化祭なんて知ったこっちゃない、、、)


 そう胸の内で呟きながら、透はふわぁーと大きな欠伸を一つした。
< 66 / 164 >

この作品をシェア

pagetop