ゼロの相棒





「ゼロ!相棒なら私がなるって言ったじゃない!

私は、ゼロの為ならなんでもやるわ!」






私は、ラグナさんの言葉が胸に刺さった。



ゼロの為なら、なんでも…か。





ラグナさん…。
もしかしてゼロのことを…。







その時、ゼロがラグナに向かって言った。






「お前は相棒にはできないよ。」












その場の空気が変わったのを感じた。



ラグナさんの顔からも、ショックが伝わってくる。




いつになく、真剣な顔つきなゼロ。






私も、ジェフも、ゼロの言葉の続きに全神経を集中させる。





「お前は“孤独”じゃないだろ?家族だっているし。


ラグナがいなくなった時、悲しむヤツがたくさんいるから。

相棒にはできないよ。」












はっ、とした。







私はゼロに何を期待していたんだろう。




フィオネじゃなきゃダメなんだ、ぐらいの言葉を、無意識に期待してしまっていた自分がいる。




そうよね。



私は“たまたま”、ゼロが出会った人の中で、条件を満たす最初の人だったから。



“たまたま”連れてきてもらえただけで。




もしも、ラグナさんが私と同じ境遇だったら、迷わずラグナさんにしたんだろうな。




私がゼロの相棒になれたのは
本当に運が良かっただけなんだ。




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