ゼロの相棒
ジェノバの声が聞こえる。
「そうか……わかった。
ただ…もし気持ちが変わったとしたら…
フィオネの事を考えておいて欲しい。」
ジェノバは少しためらうように続けた。
「わしはもう……永くは生きられないらしいからな………。」
!!
え……
今………なんて……?
私は、呼吸すらも忘れた。
ジェノバが………もう永くはない……?
死んでしまうという事だろうか……?
…私はまた、一人になるという事だろうか?
頭の中が、急に混乱しだす。
今までのジェノバの様子が、どっ、と
流れ込んできた。
死を間近に感じているような素振りは全くなかった。
……いや、私が鈍感なだけだったのだろうか?
ジェノバが、私に“こんな暮らしは辞めて、お前だけでも町を出ろ”と、言ったことも、これが原因だったのだろうか。
私はぎゅっと目をつぶって
水を飲むことも忘れて、部屋へと戻った。
ゼロは、廊下の足音に気づいていたが、それについて口を開くことはなかった。
夜が静かに深まっていった。