ゼロの相棒
ゼロは、少しの間黙っていたが、ふいにドロシーの方を向いて言った。
「…どのぐらいの時間止められるんだ?」
ゼロの言葉にドロシーは、「地響きのレベルにもよるけど…多分三分ぐらいです。」と、申し訳なさそうに呟いた。
三分か…。
その間に魔法陣を張って、三十匹もの魔獣を倒すことが出来るのだろうか?
「僕の浮遊魔法も、あくまで“コピー”だからね。そんな長い時間飛べはしないんだ。
もって、せいぜい三十分だろうな。」
ジンも言葉を付け足した。
…ジンの言った通り、結構な博打なのかもしれない。
失敗してしまったら、丘の近くにあるこの町は、すべて破壊されてしまうだろう。
かつて最果ての丘にあった町のように…。
問題はゼロだ。
私は今まで、ゼロが少年の姿の時は、魔獣を一匹だけ倒したのしか見たことがない。
三十匹もの魔獣を一人で倒すことなんて出来るのだろうか?