ゼロの相棒
その時、注文したコーヒーとココアが運ばれてきた。
ゼロはしっかりミルクと砂糖を入れている
それを見て、沈んでいた心が、少し明るくなる。
ゼロは、姿が変わっても、中身は同じだ。
やっと、十歳の子どもからもとに戻れるんだもんね。
私は、それを“相棒”として、笑って祝福してあげなくちゃ。
せっかくゼロが、私が死なない未来にしてくれたんだもんね。
「なぁ、フィオネ。」
ふいに、ゼロが私に声をかけた。
「なに?」と、私は彼の方を見る。
ゼロは、こちらに目を合わせようとはしなかったが、はっきりとした口調で言った。
「全部がおわって、俺が元の姿に戻れたら…フィオネに言いたいことがあるんだ。」
ドクン。
私の胸が鈍く鳴った。
ついに…来た。
“別れ”を告げられる時が。
「う…うん。わかった。」
私は動揺を悟られぬように答える。
心の中で、さっき押し殺したはずの黒い感情が湧いてくる。
“お前はもう用済みだから、自由になっていいぞ。俺の旅に付き合わせて、悪かったな”
………という姿しか浮かばない。