叶ったはずの恋。
『もう終わり!
練習始めるぞー!!』
俺はパンッと手を叩く。
そうするとみんなは散らばって体操を始めた。
上から降り注ぐ太陽は今日も容赦ない。
どうしてだろう。
たった、これだけのことで俺はお前を想い出す。
あの、最後の夏。
プレッシャーに耐え、
暑さに耐え、
肘の痛みに耐え、
最後まで頑張ってた夏希。
今、マウンド上にお前の姿が見えるんだ。
夏希、好きだ。
あの頃よりもずっと、好きなんだ。
俺の心はお前に奪われたままで、
どんなにキレイな人が俺の前に現れても、
俺のキモチは揺らがない。
お前へ一直線に進んでいる。
ただ、先が見えないんだ。
どこまで行ってもお前はいない。
いつ、俺の前に現れてくれるんだ?
あ、そうか。
夏希のことだから
「目標達成するまで現れない!」
とか、厳しいこと言ってるのか。
夏希。
「龍センセー!」
『今行くー!!』
俺はここからずっと、お前だけを見てるから
必ず、幸せになれよ
Side 龍貴 終