叶ったはずの恋。





『もう終わり!

練習始めるぞー!!』


俺はパンッと手を叩く。


そうするとみんなは散らばって体操を始めた。



上から降り注ぐ太陽は今日も容赦ない。


どうしてだろう。

たった、これだけのことで俺はお前を想い出す。


あの、最後の夏。


プレッシャーに耐え、

暑さに耐え、



肘の痛みに耐え、


最後まで頑張ってた夏希。


今、マウンド上にお前の姿が見えるんだ。



夏希、好きだ。


あの頃よりもずっと、好きなんだ。



俺の心はお前に奪われたままで、


どんなにキレイな人が俺の前に現れても、
俺のキモチは揺らがない。


お前へ一直線に進んでいる。



ただ、先が見えないんだ。


どこまで行ってもお前はいない。



いつ、俺の前に現れてくれるんだ?


あ、そうか。

夏希のことだから


「目標達成するまで現れない!」


とか、厳しいこと言ってるのか。



夏希。


「龍センセー!」



『今行くー!!』


俺はここからずっと、お前だけを見てるから


必ず、幸せになれよ







Side 龍貴 終






< 36 / 132 >

この作品をシェア

pagetop