台所の女


言いながら英明が立ち上がった時、ころころと転がる丸い玉が台所の方に向けて転がった。

「数珠が……」

英明がいつもしている数珠がばらばらにほどけ、台所の方へ転がっていく。

大きい水晶は粉々に割れて英明の腕にまとわりついていた。あの光と音はこの水晶が発したもの。水晶があの女から二人を守ったのか。

「きっとあの女は……」

英明が意を決したように台所へ急ぐ。その後ろを隆もくっついていく。

玉は台所のシンク下で一つに固まった。

「ここ、開けていいか」

「俺一回も開けたことない。入れるもんねーし」

「……おまえは本当におめでたいやつだな。じゃ、開けるから」

「おお」

両開きの扉に手を当て、一気に引く。

< 12 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop