台所の女
そこには何も無い。
英明は知ったように底の板を剥がし始めた。
「おいおいおい壊すなよな。弁償問題だぞ」
「壊しても大丈夫だろ。弁償にはなんねえよ」
「なんでそうなんだよこえーし。もうなんかもうこえーし! 大丈夫なふりしてっけど俺、けっこうきてるからな」
「俺だって同じだよ。でもこれ確かめないとよけい怖い。いいから見てな」
「あーもう、まじか」頭をかきむしり、「わかった」心を決めた。
板を剥がし切ったそこに出てきたものは薄汚れた箱状の物の一部。
「わ、くっせ。ひで、なんだよそれ」
「これだ。てなんだよこれ、このにおい、この中からだぞ」
「やべえそれ、なんで今まで気づかなかったんだ俺」
英明は辺りを確認し、
「やっぱりな。そうだわ。これだ。これだったんだよ」
「だからそれなんなんだよ。すげー臭いなんだけど。なんか嫌な予感。おまえの嫌な予感てまさかの」
「これだよ。警察電話しろ」
「は? ってまさかおまえ」
「だから、そのまさかだよ」
「勘弁してくれよ」
「俺のセリフだろ」