Time Paradox

警戒

ルクレツィアと一曲踊り終えた後、ジャックはアーノルド家の三兄弟と目が合った。

ルーカスは屋敷の使用人であるデイジーをパートナーとして連れていて、デリックとイザベラは２人で参加していた。

４人はジャックとルクレツィアのいる場所までやって来ると、軽い自己紹介と挨拶をし、イザベラが話題を作った。

「まさかジャック様とここでお会いできるとは思いませんでしたわ！」

「あぁ、こないだの朝ポストを開けたらビックリしたよ！まさか城からの招待状が入ってるなんてさ。それもアドルフ様の手紙付きでね！」

「あら、アドルフ様からの招待だったの？…私はてっきりリリアーナ様からの招待だと思ったんだけれど…」

「俺たちはリリアーナ様からだったけど…」

デリックがそう言うと、ルクレツィアが口を開いた。

「そういえば私もハンナ様…いえ、リリアーナ様からだと思ってたわ。でも、アーノルド家の方々は分かるけどジャックはアドルフ様とお知り合いだったのね？」

「あぁ。アーノルド家にアドルフ様が来てた時に…」

「でもその時はジャック様、パーティーにいらっしゃらなかったわよね？」

「あぁ、その次のパーティーで会ったんだった！その時は何の集まりだったっけ？」

「…あぁ！ほら、あの作戦の…」

イザベラがそこまで言いかけたところでデリックが彼女を肘で小突き、口をつぐんだ。

「…あら、あまり言いたくないことだったのに聞いてしまって…申し訳ないわ。」

「大丈夫です。さぁ、次の曲が始まりますよ。」

ルクレツィアが言いにくそうにしていると、ルーカスがフォローした。


そしてルーカスとデイジーが踊りに行くと、デリックがジャックに飲み物を渡して席を外し、イザベラとルクレツィアが残された。


< 159 / 229 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop