Time Paradox

デルーロ家

アドルフが会場の扉を開けて入ってくると、皆一斉にそちらを向いた。

だがある男だけは、真っ赤なドレスに身を包む女に視線を送っていた。

ルクレツィアは魔法の気配を感じてそちらを振り向くと、彼は気を送ってきていたようで、頷くとこちらへ向かってきた。

イザベラは、まだぼんやりとした目でアドルフ王子を見つめながら呟いた。

「なんだかすごくオーラのある方よね、アドルフ王子って…」

「…きっと、王子であるという自信がそうさせているのかもしれないわね。」

ルクレツィアがそう答えると、二人に…いや、ルクレツィアの方に歩み寄る男性がイザベラの視界に入った。

その男は上品な髭を生やしていて、ほっそりとしたベストと夜会服をスマートに着こなしている。

「こんばんは、イザベラ様。お隣の女性は初めてお会いしますね。私はランス・デルーロです、よろしく。」

「初めまして、デルーロ様。お城で開かれるパーティーの参加は初めてなの。ルクレツィアよ、ルクレツィア・チューリッヒ。よろしくお願いします。」

ルクレツィアとランスの二人は軽く挨拶を交わしてお辞儀をすると、イザベラも軽く挨拶をする。

「デルーロ家のランス様、お久しぶりですわ。デルーロ家の方々は他にもいらしているのかしら?」

「あぁ、今回は僕と弟のニコラスの二人だけだよ。まぁ、ニコラスは相変わらず…」

ランスがそちらに目をやると、数人の若い女達と戯れているニコラスが笑顔で手を振る。

「…あんな感じ。」

ランスは呆れたように笑うと、ニコラスが無邪気にこちらへ駆け寄って来た。

「おっと!珍しい〜兄貴がこんな美女達に囲まれてるなんて!」

ニコラスはそう冷やかすと、近くにあった軽い料理をつまみ食いした。

「…いつもあんな感じなの?」

ルクレツィアは笑いながら尋ねると、ランスとイザベラは苦笑いで頷いた。
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