Time Paradox
リリアーナに逃げる隙を与えない、とルーカスは宣戦布告してきたようだった。

ふと、リリアーナの頭にジャックの存在が過ぎった。

ジャックに居場所を伝えてからかなり時間も経ったはずだが、一向に来る気配がないのだ。

だが追い詰められたリリアーナは、もう彼に頼るほかなかった。

今は2日目の朝。明日にはリリアーナは殺されてしまう。

なんとか今夜中にでもここを抜け出さなければならなかった。

リリアーナは昨日と同じように、魔法でジャックに居場所を伝えた。


本当の娘のように可愛がってくれていたマーカスは、どのようにリリアーナを殺すだろうか。

リリアーナは恐ろしさと同時に深い悲しみを、どんどん高く昇っていく太陽に焦りを感じていた。

不安で手の震えは止まらなくなり、とても落ち着いてはいられないようだ。

リリアーナはベッドの上で膝を抱えて座る。


「…どうして私が…こんな目に…?」


そして今にも消えそうな独り言は、嗚咽と共に零れ落ちていった。
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