Time Paradox
早速中へ入ってみると階段があり、3階まで部屋があるようだ。

壁は石造りで、床は暖かみのあるフローリングだ。

階段を登り終えると、セドリックは1番端の部屋の前に立っていた。


「リリアーナ様の部屋はこちらになります。」

そう言ってセドリックがドアを開けると、リリアーナも二人の後に続いて部屋に入った。


入ってみると大方家具は揃っていて、暖炉と大きな窓、バルコニーまで付いていた。


「うわぁ…!ここも結構いい所じゃない!」

そう言いながらリリアーナは、窓を開けてバルコニーに出ていた。

「大きな通りに面してるのね!」

「場所もいいし、隣の大きなアパートが建つ前まではここもかなりの人気物件だったみたいだけど。今じゃ入居者が隣に吸い取られてさ。」

声がした方を振り向くと、いつから居たのか見知らぬ女の人が立っていた。


「私がこの物件のオーナーです。どう?気に入ってもらえたかしら?」


おそらく中年女性といったところだろうか、ふっくらとした体型で愛嬌のある人だ。


「3階建てで見晴らしもいいし、家具も付いてて綺麗ね!とっても気に入ったわ!」

リリアーナははしゃぎながら答えると、オーナーの女性は優しく微笑んだ。

「それは良かったわ!」


リリアーナの不安がすべて消えたわけではないが、ここでの生活が少し楽しみなものとなった。
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