修羅は戯れに拳を振るう
まだ歳若く、修行の途である龍娘。

修羅に難題を突き付けられて口を噤むしかない。

「そのような事も理解せぬまま未来の拳聖などと…よくも豪語できたものだ」

「ならば!」

カッとなって龍娘は言い返す。

「貴様はどうなのだ坊主!貴様にはその答えが見い出せているというのか!」

「いや」

修羅は即答だった。

「フン、貴様とて分かっていないのではないか!私を嘲笑う資格など有るまい!」

「確かにな。だが」

修羅は己の拳を握り締めて見つめる。

「活人拳を源流とする格闘術を旨とする俺が、修行の中でふと思うのだ…武道とは…いや、この世に数多存在する闘争の技術の全ては、ただの殺人術に過ぎないのではないかとな」

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