修羅は戯れに拳を振るう
仰向けに倒れ、ピクリとも動かない龍宇。

血が、地面に広がっていく。

「フム」

龍宇の姿を見ながら、修羅は腕組みした。

「覚醒する前に死したか。軟弱な。ならば貴様など要らぬ」

死んだとあれば興味を失ったのか。

修羅はいとも簡単に背を向ける。

あれ程までに固執した龍宇にさえ、期待外れと分かれば簡単に見限る。

と思いきや。

「ぬぅんっ!」

修羅は突如跳躍し、倒れた龍宇に対して蹴りを落とす!

その蹴りを敏捷に起き上がって回避する龍宇。

二度三度とバック転し、構える。

「死んだふりとは小賢しい。それとも」

修羅はニヤリと笑った。

…目前の龍宇は、完全に白目を剥いている。

意識はない。

にもかかわらず、この圧倒的なまでの殺気は何だ。

修羅でさえ冷や汗が流れる。

「死に際を彷徨う事で、貴様の本性が目を覚ましたか?」

< 166 / 180 >

この作品をシェア

pagetop