修羅は戯れに拳を振るう
その様子を店の外から見ながら。

「……」

龍宇は一歩踏み出した。

店内に入ろうとして。

「御客人」

一人の男に止められる。

翡翠色の中国風の上着に、ゆったりとした黒のズボン。

裾は絞ってある。

短く切り揃えた黒髪と鋭い眼光は、往年のカンフーアクションスターを彷彿とさせた。

「こう見えてもこの酒家は高級店でな…悪いが御客人のような身なりの者には、中で食事をとってもらう訳にはいかない」

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