修羅は戯れに拳を振るう
不意を突かれる洪。

「山突きとは…スポーツ空手では使われなくなった技だな…お前、空手が流儀か…」

「山突きも使えるというだけだ…空手が専門じゃない」

姿勢を立て直し、構える龍宇。

片手を天に、もう片手を地に向ける威圧の天地上下の構えだ。

圧倒的な圧力。

対峙しているだけで気圧される。

物静かとさえ言える龍宇から感じられる、この強い気配は何なのか。

しかし押されるな。

気圧されれば負ける!

洪は強い踏み込みから間合いを詰め、肩や背面部で突進する技、靠撃(こうげき)を繰り出そうとして。

「がっ!」

脳天に痛烈なまでの衝撃を与えられた。

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