鬼部長の素顔
次の日、滅多に会社で会わない
白井さんと偶然会ったのは
まだ部長と結婚する前のこと
「あれ、優ちゃん。久しぶり」
『お久しぶりですね』
「少しお腹出てきたね。妊婦みたい」
『いやいや、妊婦ですから』
そんな話をしていたら
エレベーターのドアが開いた
私が降りると白井さんも降りた
「隼人と話した?」
その言葉にピンときた
白井さんはもっと前から知っていたんだ
今は……触れてほしくない話
『……こっちの問題ですから』
そう言って私は歩き出した
余計な話を耳にしたくない
白井さんは何もかも知ってるようだ
だから尚更、白井さんといない方がいい
けど人の噂って嫌でも耳に入る
無神経な人は
私に対して「いつ引越すの?」「いつ辞めちゃうの?」と聞いてくる
さすがに麻耶先輩が「仕事中よっ」と言って阻止してくれた