鬼部長の素顔



ベットに横になりながら
まだお風呂に入っているだろう
部長が寝るスペースに目をやる


私だって…我慢してる
けど、不安もあるの……
その不安を部長にぶつけるわけにいかない


なんでも言えって言ったからって
言えるわけじゃない
我慢だって必要なんだよ?

部長……わかってよ…



これってマタニティブルーってやつかな?
あー、嫌だ。泣きたくないのに……



「優子」


腕で目を押さえていたら
いつの間にか、お風呂から上がっていた
部長がいた


「なんだ?あいつらになんか言われたのか?」



言われてないことくらい
わかってるくせに……意地悪だ



『なんでもないですよ』


だめだ、泣きそうなんだから
今は放っておいて欲しい


そうか?と言って
部長はベットに入ってきた

……が、なぜか離れて
私に背を向けて寝ている


なんで?
いつも抱きしめて寝てくれるのに……
もう嫌だ……


もういいっ!
私も部長に背中を向けた
我慢していた涙が溢れてくる
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