鬼部長の素顔


9時半……
充には何も言わず、私は充のアパートに来た



けど、充に会うことができず
どうにかして、自分のアパートに帰ってきた



いつもなら、充は笑顔で私を出迎えてくれて、抱きしめてキスをくれるはずだった


充の部屋の前に来て、インターホンを押そうとした時、中から話し声が聞こえた



「10時には彼女来ちゃうから…ごめんね」


それは充の声だった
誰かを送り出そうと玄関に来たんだろう


もしかして、浮気?女?
そう思って、インターホンを押さず
ドアに耳を当ててしまった



「しかたないよ、それは」


そう答えた声は……男の子だった
< 34 / 344 >

この作品をシェア

pagetop