鬼部長の素顔



なんだ、とホッとした私の耳に
驚く声が入ってきた



「ま、まだ充が足りないようだが……」


「何言ってんだよ、シュンくん」



なんか……なんか、 聞いちゃいけない会話なんじゃないかと汗が出る



「じゃ、行くから」


「あ、待ってシュンくん」


と、言った後……なんとも言えない漏れが聞こえてきた


そして……

「シュ……シュン、くん……あっ…。」


「足りないのは、俺の方だ」



あまりにも聞きなれない声と音
何が起こってるのか、理解ができない


理解できるわけもない
だって……、だって、
そう言うのって、男と女がするものでしょ?
今の声は……どう聞こえても男


そして、あの日……残業した日のことを思い出した

もしかしたら、あの後
本当にホテルに行ったのかもしれない
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