季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
聞くは一時の後悔、聞かぬは一生の苦痛
慌ただしい年末をなんとかやり過ごして歳が明け、正月ムードだった世間が少しずつ平常のペースに戻り始めた。

気が付けばもう1月中旬。

壮介とカフェで会った日から、もう1ヶ月が過ぎている。

壮介と紗耶香の問題はどうなったのだろう?

気になりはするものの、こちらから尋ねるのもためらわれて、壮介とはあれから連絡を取っていない。


そういえば、クリスマスもお正月も、これと言って特別な事は何もしなかった。

私はバイトで忙しかったし、順平も相変わらず朝早くから夜遅くまで出掛けていて、一緒に過ごす余裕もなかった。

これは単なる同居だと、つくづく思う。

珍しく家にいるなと思っても、結局求められるのは体だけだ。

順平は事が済むと、さっさと自分の部屋に戻るか、昼間なら突然一人でどこかに出掛けて行ったりする。

順平にとって私って一体なんだろう?

日に日にその思いは強くなる。

おまけに、私があのネックレスを着けるようになってから1ヶ月が過ぎたけど、順平は全然それに気付いてくれない。

私の事なんか全然見ていないんだなと、悲しくなってしまう。

私が急にいなくなっても、順平はなんとも思わないのかも知れない。

昔みたいにもっとそばにいて、たくさん話をして、一緒に笑って過ごせたらいいのに。



< 170 / 208 >

この作品をシェア

pagetop