季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
「考えようによってはさ…紗耶香は壮介の事が好きだから、どんな手を使ってでも壮介と一緒になりたかったわけだよね。その手段が正解だとも、嘘をついていいとも思わないけど…私よりずっと壮介の事、愛してると思う。」

「俺がいい加減な事しなかったら、朱里にあんな思いさせる事もなかったし、紗耶香もこんな事しなくて済んだんだ。だからさ…この責任は俺の一生かけて背負う事にした。俺はこれからも騙されたふりしてる。」

いつになく饒舌な壮介に、その決意の強さを感じた。

「なんか…急に大人になったね、壮介。」

「守るべきものができたからな。」

「そっか…。頑張ってね。」



カフェの前で壮介と別れて、帰り道を歩きながら、もし壮介とあのまま結婚していたらどうなっていただろうと想像した。

平凡でどこにでもあるような家庭を築いていたかも知れない。

私は壮介と家族にはなれたかも知れないけど、紗耶香ほど壮介を愛せなかっただろう。

壮介は私の事を好きだったとは言ったけど、結婚してお互いに幸せになれるのか自信がなかったとも言った。

だけど、紗耶香と子供の事は“守るべきもの”と言い切った。

あとは壮介と紗耶香の問題だ。

私はもうあの二人の事には触れないでおこうと思った。






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