季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
家に帰ると、順平がソファーでうたた寝をしていた。

そっと近付いて寝顔を眺めてみる。

寝顔はそっくりなんだな…。

昔、私の隣で眠っている無防備な順平の寝顔を見ているのが好きだった。

その時だけは、順平がこのままそばにいてくれるような気がしたから。

目を覚ました順平が、ニコッと笑ってキスしてくれるのも幸せだった。

私の中の順平は、いつも優しく笑っている。

あの時もし、私が逃げ出さなければ、今も順平と一緒に笑っていられたのかな?

それとも…。

“もしも”の話をいくら並べ立てたところで、過去に戻れるわけじゃない。

後悔しているからこそ、今目の前にある現実を受け止めなくては。

真実を知っているのは、順平だけだ。

順平はすべてを話してくれるだろうか?





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