季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
「みんな、何かしら人に言えない秘密があるもんだね。」

思わずポツリと呟くと、順平は缶ビールをテーブルの上に置いて私を見た。

「オマエにもそんな秘密があんのか?」

「どうかな。なくはないよ、多分。」

「曖昧だな。」

「そんなもんでしょ?言ったら秘密にはならないもんね。」

順平は私と秘密を共有した。

順平の前では笑っていたけど、知らずにいた方が幸せだったかも知れないと何度も一人で泣いた。

きっと順平はわかっていたんだと思う。

だから私が急にいなくなっても、電話のひとつもよこさなかった。

「知らずに済んだ方が幸せな事もあるよ。」

「ホントにそう思うか…?」

「どうかな…。秘密。」

私が答えると、順平は私の体を引き寄せた。

「しゃべりたくなるようにしてやろうか?」

「ならないよ。」

「これでも?」

順平は私を床に押し倒し唇を塞いだ。

噛みつくようなキスをしながら乱暴に服をたくしあげ、その手で私の体に触れる。

順平の舌が私の肌を這う。

やめて。

順平と同じ顔で、そんな事しないで。

「お願い…やめて…。」

「しゃべったらやめてやる。」


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