夏 恋 花 火

「てか…いつまで手つないでんの」

「いいじゃん、いいじゃん」


俊也は嬉しそうに、ひひっと笑った。


しばらく夜空を見上げていた。

先輩は今、南先輩と一緒に花火を見上げてるのかな?


あの恋…いや、憧れの気持ちは報われなかったけど、でも―――。

私は隣の俊也を見た。


楽しそうに花火を見ている。

無邪気な横顔が、光で照らされている。


繋がれた右手に目をやると、俊也が言った。



「男なんてさ、星の数ほどいるんだから。あんま、気にすんな」


俊也の優しさが不覚にも胸にしみた。



「俺もいるし!」

「………」

「………」

「………」

「………」


「俊也、顔、真っ赤だよ」


私が吹きだすと、「うっうっうっせぇ!」って動揺する俊也がちょっと可愛かった。



一緒に花火行きたい奴って、私のことだって、思っていいんだよね?

不器用な優しさが、今すごく嬉しかった。



「あー…調子狂ったわ……。あんま慣れない事言うもんじゃねぇな」

「そうだよ、格好つけすぎ」

「何だよ、かわいくねーのっ。お、たこ焼き食うか?」

「わた飴じゃないの?」

「えっ?」

「何でもない。りんご飴がいい」

「おしっ」

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