【完】ぎゅっとしててね?
映画を観てる芙祐ちゃんは、相変わらずの注意散漫。



映画か、俺か。どっち見てんだか。


俺を見つめた芙祐ちゃんの口にポップコーン2.3個つめといたら。



もぐもぐして、映画に戻っていった。
なにそれ。


くすっと笑って芙祐ちゃんを見た。


あれで映画理解してるみたいだね。
普通に感動してるね。
ティッシュいる?



「慶太くんちゃんと観てる?」



大きな目に涙ためて、上目遣いのダブルパンチは本当にやめて。



てか、芙祐ちゃんに言われたくないし。



クライマックス。
あーあ。
芙祐ちゃん泣いちゃったよ。



まっすぐスクリーンを見つめて、ポロポロ涙流してる。



…….綺麗だなぁ、とか。
こんな風に彼女に見惚れたのは初めてだな。



せっかく面白かった映画の続きも気にならなくなるくらい。俺の方が注意散漫。



芙祐ちゃんは逆に映画の世界からでてこなくなった。


でも、繋いでいた手、思い出したようにぎゅっと握るね。サービス?



あ、もうこれ。
ラストわかんないや。


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