不器用な恋

写真部のモデルとして来て欲しいと頼まれ、しぶしぶ頷いた俺は

放課後部室にいた。

そこには、今日告白された矢沢さんもいて

帰りたい。

なんて思う。

どうして受けてしまったんだろうか。

後悔してもしきれない。

「まってね、あと一人くるの」

そういうと

「2年の山田です」

と、外から聞こえる。

や、山田……

もしかして、そう思った時には

彼女は部室の扉を開けていて

入ってくる。

予期もしないことだった。

今、俺の前には山田さんがいるんだ。

先輩が話している間も

山田さんを見てしまう俺。

悲しそうな瞳。

壊れそう。

まえの瞳は見間違いではなかったと

確認する。

「よし、いきますか!」

そういう先輩の声ではっとする。

やっべ、きいてなかった。

とことこと歩いた先は

うちの高校の有名な場所。

花の庭と呼ばれている庭だ。

いろんな花があって、よくカップルがたまっている場所と、俺は認識している。

「じゃ、とりあえず。山田さんと矢沢さんと桐沢君三人適当に自然にしていて。勝手にシャッター押していくから」

そういわれ、俺たちは座る。

何を喋ればいいんだよ。

自然にってなんだよ。

そう思ってると気まずそうに

「花綺麗だね!」

と、にこりと笑う矢沢さん。

「そうだね」

と、一応返しておくが

山田さんは何も答えずただ花を見ている。

こんなのでいいのか?

そうおもいながらもまた無言になる俺たち。

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