不器用な恋

「はぁ、やっぱ無理だよな」

「無理だね、山田さんは!なんかさ、興味なさそうじゃね?恋愛とか友情とか。あっ、でも実はめちゃくちゃイケメンの彼氏いたりして!」

なんて、いってくる悠里に

本気で落ち込む俺。

「じ、冗談!」

格好悪…俺。

教室に入ると、バカップルがニヤニヤしながらこっちをみる。

「なんだよ」

「矢沢さんに告られてたね」

「断ったんだって?」

間宮龍と関口愛華。

愛華は俺と悠里のもう一人の幼馴染みで

龍は高校1年の時に仲良くなった奴。

「あ、慎!愛華ね、山田瑠樹ちゃんと喋っちゃったの!」

そういう愛華にぴくっと反応する俺。

「何喋ったの」

そう聞くとニヤニヤしながら

「しりたい?」

といってくる。

「すっごくかわいかったの!保健室でね!すっごいかわいかった!友達なりたいわぁ」

そういう愛華を羨ましそうにしかみれない俺に涙が出そうだ。

愛華に接点はこうできるのに

どうして俺にはできないのか。

見ることしかできない。

あの壊れそうな瞳を

心を

優しく包んであげたい。

そう思うのに何もできない俺は本当に意気地なしだと思う。

「まーた、かんがえこんでる」

「考えずに行動すればいいのにな」

と、愛華と龍がいってくる。

「うっせ」

そのとおり、

そのとおりなんだ。


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