強引なカレの甘い束縛


シャツのボタンを上からふたつ外していたけどそれもいつも通り。

だけど、見覚えのある陽太とは何かが違っていた。

「輝さんこんにちは。今日は昼間からお店を開けてもらってすみません」

陽太は輝さんの側で立ち止まると、頭を下げた。

そうだ、今日は土曜日だから基本的には夜のみの営業のはず。

大通りに面した『マカロン』の近くには会社が多く、土曜日は休日の会社が多くてお昼間はお休みだと聞いている。

晩になると、ひとつ隣の駅の近くにある『夜景が綺麗で雰囲気のある展望台』に立ち寄った恋人たちが大勢流れてくるらしく、彼らのリクエストで営業していると輝さんが言っていた。

『マカロン』自体、恋人たちが想いを交わし合うにはもってこいの雰囲気だから、それもよくわかる。

けれど、今回は陽太が園田さんに会いたいと砂川さんにお願いしたことがきっかけで、弟である輝さんに女王様ぶりを発揮する砂川さんの「土曜の昼間、おいしいランチを作って」発言が飛び出したらしい。

そして、姉には逆らっても無駄だと笑い飛ばす輝さんのご厚意により、今日はここでランチをいただくことになった。

そして、カウンターに並んで座る美男美女が、くすくす笑っているのに気づいた。





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