強引なカレの甘い束縛


私達姉妹の両親はお互いを愛することに精一杯で、私達を無視するわけでも愛情を与えてくれなかったわけでもないけれど、必要最低限の世話をするのみだった。

おまけに、ひとつの場所に長くとどまることができない放浪癖があり、姉と私は両親の気の向くまま引っ越しばかりを繰り返していた。

そして、両親が亡くなったと、はもちろん悲しかったけれど、そのことによってそれまでの生活が一変することはなかった。

それまで通り、姉は仕事に、私は学校に通うという生活は変わらず、生活費に関しても両親が遺した生命保険と出版物の印税などがあったおかげで心配することもなかった。

ただ、そろそろ結婚をしようかという話が出ていた姉がそれを延期することだけはどうしようもなかった。

もちろん淡白な親子関係だったとはいっても両親が亡くなった寂しさはやはりあり、将来への不安もあった。



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