強引なカレの甘い束縛


そんな中、私が高校を卒業するまでは一緒に暮らそうという姉の言葉に甘えさせてもらうことにした私。

それでもやはり、姉への申し訳なさが消えないまま高校時代を過ごした。

そして、無事に大学の入学を決めた私は、姉とふたりで暮らしていた家を出てひとり暮らしを始めた。

とはいっても、私を心配する姉は自分の目の届くところでしかひとり暮らしを認めるつもりはなく、経済的に余裕がある忍さんが買ったこのマンションで八年間、家賃の心配もなく、セキュリティの不安もない快適な毎日を送らせてもらっている。

本来なら、ここまで私の面倒をみる必要はないのに、居心地のいい家を用意してくれた忍さんにはとても感謝している。

『穂香の妹は、俺にとっても大切な妹だから、当然だ』

照れることなくそんな言葉を口にする義兄、忍さんと。

『弟の家族は俺にとっても大切な家族だから、甘えていいんだぞ』

そう言って、忍さんと一緒に私のために穏やかな笑顔を向けてくれた忍さんのお兄さんである聖さん。

姉の嫁ぎ先である音羽家の優しさのおかげで、落ち着いて大学生活をおくることができた。


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