ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
第2小会議室を出て、タカと並んで歩く。


キュッ、キュッ、キュッ…

コツ、コツ、コツ…


「ぶっ…は!…懐かしいな」

「はい!」

嵐の夜を思い出し、二人で笑う。


ああ、この感じ…タカといると落ち着く。

大通りでタクシーを拾い、後部座席に私を押し込む。

「一緒に帰りたいとこだけど、今日はここで」


パタン…


タクシーの中から、タカに手を振る。


ねえ…私は貴方のお父さんをずっと恨んできたんだよ?

会社を潰してやろうと企んだんだよ?

なのに、どうして優しくするの?

貴方に好きになってもらえる所なんて全くないよ…


目を閉じる。


「矢神さん…」

頭の中に浮かぶ人の名をつぶやいていた。









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